動画制作の目的設定はどう決める?成果につながるKPI設計の基本を解説
2026.6.24
動画を作ること自体は、以前よりずっと簡単になりました。社内で撮影し、編集ツールを使えば、一定の品質の動画を短期間で公開することもできます。にもかかわらず、成果につながる動画が増えにくいのは、制作の問題ではなく、動画制作 KPIと目的設定が曖昧なまま進むケースが多いからです。
特にBtoBでは、動画は単独で成果を生むものではありません。認知拡大、商談化率向上、営業効率化、採用応募の増加、導入後の定着支援など、どの業務プロセスに効かせたいかで、設計すべき動画 目的設定も、見るべき動画 成果指標も大きく変わります。再生回数だけを追っても、事業成果とつながらない理由はここにあります。
結論から言えば、動画制作 KPIは「動画の見られ方」から考えるのではなく、「事業上どの行動を変えたいか」から逆算して設計すべきです。目的設定が明確であれば、動画の構成、尺、配信場所、検証方法まで一貫して決めやすくなります。反対に、目的が曖昧だと、完成後の評価も改善もできません。
この記事では、動画制作 KPIの基本、動画 目的設定の進め方、KPI 設計の手順、企業で起こりやすい失敗、内製と外部活用の考え方まで、BtoB実務に落とし込んで解説します。読んだ後に、自社でどの指標を置くべきか、どこから整理すべきかが見える構成にしています。
なぜ動画制作では目的設定が先なのか
動画施策でありがちな失敗は、「動画を作りたい」からスタートしてしまうことです。社内で動画の必要性は共有されていても、何のために作るのかが曖昧なまま進むと、次のような問題が起きやすくなります。
誰に向けた動画かが定まらない
伝える内容が増えすぎてメッセージがぼやける
配信先と動画の尺が合わない
再生回数は出ても、問い合わせや商談につながらない
効果検証ができず、次回改善に生かせない
動画はあくまで手段です。BtoB企業であれば、たとえば「営業が初回提案で使えるようにしたい」「導入検討中の顧客の不安を減らしたい」「採用候補者に自社理解を深めてもらいたい」といった目的が先にあるべきです。ここが決まると、誰に何を伝えるべきかが定まり、動画制作 KPIも置きやすくなります。
動画制作でよくある4つの目的設定
動画 目的設定は、細かく見ると多様ですが、実務では大きく4つに分けると整理しやすくなります。
1. 認知・関心を高める
まだ自社やサービスを知らない層に存在を知ってもらう段階です。広告、SNS、展示会、イベント前後の発信などで使われます。この段階では、詳細な説明よりも、短時間で印象を残せるかが重要です。
2. 商品・サービスの魅力を理解させる
すでに一定の関心を持っている相手に対して、サービスの特徴、導入メリット、使い方を伝える段階です。Webサイト、営業資料、比較検討フェーズで使われやすい動画です。
3. 信頼を構築する
BtoBでは、認知より信頼が重要になる場面が多くあります。導入事例、顧客の声、担当者インタビュー、開発背景などを通じて、「この会社に任せられる」と思ってもらうための動画です。
4. 理解促進・定着支援を行う
導入後の活用支援や、社内教育、サポートコンテンツとして使う動画です。ここでは派手さより、分かりやすさと再利用性が重視されます。
この4つは完全に別物ではありませんが、1本の動画に全部を入れ込もうとすると失敗しやすくなります。動画制作 KPIを設計するためにも、まずは主目的を1つに絞ることが重要です。
動画制作 KPIはどう考えるべきか
動画制作 KPIというと、再生回数、視聴回数、視聴維持率などを思い浮かべる担当者が多いはずです。もちろんそれらは重要です。ただし、BtoBではそれだけで成果判断すると、施策の方向を誤りやすくなります。
KPIは大きく次の3層で考えると整理しやすくなります。
1. 接触のKPI
動画がどれだけ見られたかを測る指標です。
再生回数
インプレッション
視聴開始率
到達率
認知段階では有効ですが、この数値だけで成果判断すると、事業への貢献が見えません。
2. 関与のKPI
視聴者がどれだけ中身に反応したかを見る指標です。
平均視聴時間
視聴完了率
クリック率
資料請求ページへの遷移率
問い合わせ導線への流入
「興味を持ったか」「理解が進んだか」を見るには、この層の指標が重要です。
3. 事業成果のKPI
最終的に事業にどうつながったかを測る指標です。
問い合わせ数
商談化率
受注率
採用応募数
エントリー完了率
オンボーディング完了率
サポート問い合わせ削減数
動画制作 KPIを設計するときは、接触指標だけで終わらず、最終成果までつながる導線を意識する必要があります。
成果につながるKPI 設計の基本手順
ここからは、実務でそのまま使いやすいように、KPI 設計の進め方を段階的に整理します。
ステップ1 事業目的を明確にする
まず確認すべきは、動画を使って何を改善したいのかです。例えば次のような粒度で置くと、後工程が進めやすくなります。
展示会後の商談化率を上げたい
サービス紹介ページの問い合わせ率を高めたい
営業担当ごとの説明品質のばらつきを減らしたい
採用候補者の辞退率を下げたい
導入後のサポート工数を減らしたい
ここが「とりあえず動画活用を強化したい」だと、KPI 設計も曖昧になります。
ステップ2 ターゲットと視聴シーンを具体化する
同じサービス紹介動画でも、Webサイトで初めて見る人向けか、商談後に送る比較検討層向けかで、適切な内容は変わります。整理すべきは次の点です。
誰が見るのか
いつ見るのか
どの文脈で見るのか
見た後に何をしてほしいのか
視聴シーンが曖昧だと、動画の長さ、構成、トーンも決まりません。
ステップ3 ゴール行動を1つ決める
BtoB動画で失敗しやすいのは、目的を詰め込みすぎることです。1本の動画で、認知も、理解促進も、信頼構築も、問い合わせ誘導も全部やろうとすると、どれも弱くなります。
まずは1本ごとに、もっとも重視する行動を1つ決めます。
サービス資料を見てもらう
営業への返信率を上げる
エントリーしてもらう
導入手順を理解してもらう
この「次の行動」が決まると、成果指標も選びやすくなります。
ステップ4 主KPIと補助KPIを分ける
主KPIは最終的に達成したい成果、補助KPIはその途中を確認する指標です。たとえば、問い合わせ増加が目的なら、次のように整理できます。
目的 | 主KPI | 補助KPI |
|---|---|---|
問い合わせ増加 | 問い合わせ数、問い合わせ率 | 視聴完了率、遷移率、離脱ポイント |
商談化促進 | 商談化率、商談化件数 | 平均視聴時間、資料閲覧率 |
採用応募増加 | 応募数、エントリー率 | 視聴完了率、説明会申込率 |
理解促進 | 問い合わせ削減、活用率向上 | 視聴完了率、再視聴率 |
主KPIだけだと改善の打ち手が見えにくくなります。補助KPIまで設計しておくことで、どこを改善すべきか分かりやすくなります。
ステップ5 測定環境と改善方法を先に決める
意外と見落とされやすいのが、測定できる環境を制作前に整えておくことです。例えば、CTAのクリック計測、動画ごとの流入元識別、営業資料経由の利用状況など、制作後に取れないデータもあります。
動画制作 KPIは、動画完成後に考えるものではなく、設計段階から埋め込むべきものです。
目的別に見る動画 成果指標の考え方
認知拡大が目的のとき
認知段階では、視聴数だけでなく、ターゲットに届いているかを見る必要があります。
再生回数
リーチ
視聴開始率
視聴維持率
指名検索数の変化
単なる再生数ではなく、どのターゲット層に届いたかを確認しないと、認知施策としての質は判断できません。
理解促進が目的のとき
サービス理解を深める動画では、最後まで見られているか、比較検討に進んでいるかが重要です。
平均視聴時間
視聴完了率
資料請求ページ遷移率
サービスページ回遊率
商談前後の理解度変化
信頼構築が目的のとき
導入事例や顧客インタビューでは、視聴回数よりも、検討フェーズの後押しになったかが重要です。
事例ページの閲覧後商談化率
提案後の返信率
失注理由の変化
商談での利用率
定着支援が目的のとき
マニュアル動画やオンボーディング動画では、派手な数字より、現場で役立っているかを見ます。
サポート問い合わせ件数の減少
操作完了率
利用開始率
動画視聴後の自己解決率
企業でよくある失敗と課題
再生回数だけを追ってしまう
最も多い失敗です。再生数は見やすく、社内共有もしやすい指標ですが、BtoBでは成果との距離が遠いことがあります。視聴数が多くても、問い合わせ、商談、応募、定着に結びつかなければ意味が薄くなります。
動画 目的設定が抽象的すぎる
「認知を上げたい」「ブランディングしたい」だけでは、制作物の判断基準が弱くなります。誰に、どの場面で、何を変えたいのかまで落とし込まないと、動画の役割が曖昧になります。
1本に役割を詰め込みすぎる
紹介、信頼、比較、問い合わせ誘導をすべて1本でやろうとすると、結局どのメッセージも弱くなります。BtoBでは、目的別に動画を分けたほうが導線設計しやすくなります。
制作と運用が分断している
制作会社は作って終わり、社内は配信して終わり。この状態だと、改善が回りません。動画制作 KPIを本当に機能させるには、制作前から運用部門や営業部門も巻き込む必要があります。
解決策・改善方法
すぐできる改善策
動画ごとに主目的を1つに絞る
主KPIと補助KPIを分ける
視聴後に促したい行動を明確にする
動画の利用シーンを1つずつ整理する
営業、採用、マーケティングなど関係部門でゴールを共有する
中長期で取り組む改善策
動画の目的別ポートフォリオを作る
効果測定の基盤を整備する
各部門で動画活用の型を標準化する
失注理由や離脱理由と動画視聴データを紐づける
制作と運用を同じKPIで見る体制に変える
ビジネス活用の視点で見た動画KPIの使いどころ
動画制作 KPIは、制作部門だけのものではありません。BtoBでは、部門横断で見ると価値が高まります。
マーケティングで使う場合
リード獲得や比較検討促進のために使うなら、視聴完了率や遷移率だけでなく、商談化率や有効リード率との接続が重要です。
営業で使う場合
営業資料代わりに動画を使うなら、送付後の返信率、商談化率、説明時間短縮など、営業現場での変化を成果指標に置くほうが現実的です。
採用で使う場合
採用動画は、再生数よりも説明会参加率、エントリー率、辞退率改善などを見たほうが意味があります。
サポート・カスタマーサクセスで使う場合
導入支援動画は、問い合わせ削減、自己解決率向上、オンボーディング短縮など、運用指標との連動が重要です。
内製の限界と注意点
動画施策は内製でも始められます。ただし、企業で継続運用しようとすると、次の壁に当たりやすくなります。
兼務でKPI 設計まで回らない
実務では、動画担当者が専任ではないことが多く、企画、撮影、編集、確認、配信だけで手いっぱいになります。結果として、目的設定や効果測定が後回しになります。
社内合意に時間がかかる
BtoBでは関係部門が多く、誰のための動画か、どの指標で見るかが合意されないまま進みがちです。これが目的の曖昧さにつながります。
改善の再現性が残らない
担当者個人の感覚で動画を作っていると、良かった理由も悪かった理由も言語化されません。KPI 設計がないと、次回制作で再現できません。
外部パートナーへの相談が有効なケース
次のような場合は、制作だけでなく設計から相談したほうが進めやすくなります。
何を目的に動画を作るべきか整理しきれていない
再生数はあるが成果につながらない
営業、採用、マーケティングで動画の使い方が分断している
KPI 設計までは社内で対応しきれない
制作後の改善運用まで見据えたい
複数本の動画を導線全体で設計したい
外部に任せるべきなのは、必ずしも編集作業だけではありません。むしろBtoBでは、目的設定、導線設計、成果指標の整理こそ、外部視点が入ることで進めやすくなることがあります。
FAQ
Q1. 動画制作 KPIで最初に見るべき指標は何ですか?
最初に見るべきなのは、動画の目的に直結する主KPIです。認知なら到達、比較検討なら遷移率、商談化なら問い合わせや商談化率、定着支援なら問い合わせ削減など、目的ごとに変わります。再生回数だけで判断しないことが重要です。
Q2. 動画 目的設定は1本ごとに分けるべきですか?
基本的には分けたほうが成果につながりやすくなります。1本に複数の役割を持たせると、メッセージが散りやすく、KPIも曖昧になります。まずは1本1目的で考えるのが実務上は安全です。
Q3. BtoB動画で再生回数は意味がないのですか?
意味がないわけではありません。認知段階では重要です。ただし、それだけでは事業成果につながったか判断できません。視聴完了率、遷移率、商談化率など、次の行動につながる指標とセットで見る必要があります。
Q4. 内製でもKPI 設計はできますか?
可能です。ただし、兼務体制だと制作に工数が偏り、設計と改善が後回しになりやすい傾向があります。目的整理や測定設計に不安がある場合は、初期設計だけ外部と進める方法も有効です。
まとめ
動画制作 KPIは、動画を作った後に考えるものではなく、動画 目的設定の段階から決めておくべき設計要素です。BtoB企業では、再生数のような見えやすい数字だけではなく、問い合わせ、商談化、応募、定着といった事業成果につながる指標まで設計する必要があります。
進め方の基本はシンプルです。まず、何を改善したいのかを事業目標から整理する。次に、誰に、どの場面で、どんな行動を促したいのかを明確にする。そのうえで、主KPIと補助KPIを分けて置く。この順番を守るだけでも、動画施策の精度は大きく変わります。
動画制作を「作る施策」ではなく「成果を動かす施策」として扱いたいなら、制作前の設計に時間を使う価値があります。
相談を検討する前に整理しておきたいこと
外部相談や制作検討を進める前に、次の項目を社内で整理しておくと、議論が進みやすくなります。
動画で改善したい業務課題は何か
想定視聴者は誰か
視聴シーンはどこか
視聴後に期待する行動は何か
主KPIと補助KPIは何か
社内で担う範囲と外部に任せたい範囲はどこか
この整理ができていれば、相談は単なる制作依頼では終わりません。自社に合う動画施策の設計から検討しやすくなり、問い合わせ後の認識ずれも減らせます。成果につながる動画活用を目指すなら、まずは目的設定とKPI 設計の整理から始めるのが最短です。




